PROFILE

自分の肌が好き、と言える肌へ導く

永松麻美

Asami Nagamatsu

自身が長年アトピーやニキビ、敏感肌など肌の悩みを抱えて過ごした経験からエステティシャンを目指すようになる。
大手美容サロンに就職後、エステとは?より良いサービスを提供するにはどうしたらいいのか?と自問自答する日々を過ごし、一流のエステティシャンを目指すべくタカラ・インターナショナルエステティックカレッジへ入校。卒業後は有名エステサロンでエステティシャンとして活躍し、その後独立。

お客様の肌質を根本から変えるという肌質改善の結果に徹底的にこだわったサロンは、お肌の悩みを持つ多くのお客様の反響を呼び、一躍有名サロンへ。
一人ひとりの肌と向き合いながら女性本来の美しさを引き出し、自分の肌を受け入れ、好きになれると女性の笑顔の輪が全国へと広がっている。

略歴

フェイシャルサロン&スクール-SUHADA- オーナーエステティシャン 著書『シワとりパーフェクトブック』執筆

保有資格

日本エステティック協会認定エステティシャン シデスコ インターナショナルエステティシャン シデスコ アロマテラピー シブタック(エスティックトリートメント・ボディ)
笑顔の輪を広げたい!
-先生ご自身もお肌のトラブルで悩まれていたそうですね。その時の心境を聞かせてください。

永松:思春期の頃に一番肌荒れがひどかったせいもあって、当時は人にもあまり会いたくなかったし、肌が汚いだけじゃなくて、性格まで後ろ向きになってしまっていました。
私なんかがかわいい恰好をしたり、メイクしたりしてもどうにもならない、むしろしちゃいけないんじゃないかくらいに思いつめてしまったこともありましたし、「なんで私はこんなに頑張ってもきれいになれないのに、あの子は何もしてないのにきれいなんだろう?」とか人と比べて落ち込むこともありましたね。

-幼少期や学生時代はどのような過ごし方をされていたんですか?

永松:小さい頃は習い事に通ったり普通に子どもらしいところもあったんですが、昔からアトピーで肌がかゆくなったり赤くなったりしていたので、自分の体に対してのコンプレックスはあったと思います。

中学に入ったくらいからアトピーに加えてニキビもすごく増えてしまって、気持ち的にもふさぎ込むことが多くなりました。かわいいものや女の子らしいものは自分にはふさわしくないと思って、そういうものからも遠ざかるようになりましたね。
その頃は人と顔を合わせると「気持ち悪い」とか「汚い」と思われるんじゃないかという気持ちがすごく強くて、本を読んだり、現実じゃない世界に逃げるというか、できるだけ人と接しないようにしていました。

でも、やっぱりそれを長く続けていると、だんだん人と一緒に何かをやるということもしたくなってくるんですよね。だから、部活とかスポーツとか、見た目で評価されないものに打ち込むようになりました。
おしゃれとかメイクとかをしちゃうと、見た目で判断される世界になってしまうので、それが無意識にちょっと怖かったんだと思います。

-最初は脱毛サロンでエステティシャンをされていたとのことですが、当時の想いや葛藤を教えてください。

永松:全国に店舗がある中堅くらいの脱毛サロンで働いていたんですが、すごく時間に制限がある環境だったんです。自分の中では「もっとお客さんと丁寧に向き合いたい!」とか、「もっと丁寧に施術してあげたい!」という気持ちが強かったんですが、それがなかなかできなくて…。
例えば、脇の脱毛だったら部屋を押さえている時間が10分しかないんです。そこで、もしお客さんが3分遅刻してきたら、あと7分でやらなきゃいけない。時間内に部屋を空けないと先輩に怒られるし、次のお客さんにも迷惑をかけてしまう…常に時間との戦いで。そうするとやっぱり丁寧な接客なんてなかなかできないんですよね。
本当はもっとちゃんとやってあげたいっていう気持ちと、時間の制約があってどうしてもそれ以上はできない、雑になってしまう自分との葛藤がものすごくありました。

それから、「技術力を上げたい」「もっといいサービスをできる自分になりたい」っていう気持ちと、とにかく売り上げ重視でより高い契約を取らないといけない現実の間でも苦しみましたね。

エステってみなさんキラキラしたイメージを持っていると思うし、私もそうだったんですけど、裏じゃみんなバタバタ動いて、休憩もまともに取れないから菓子パンかじって…みたいな。これがエステの現実なんだなと思い知りました。もちろんそうじゃないサロンもたくさんあるんですけどね。

飲食店なんかと一緒で、エステサロンも”高級路線で単価は高いけれど丁寧にできるお店”と”薄利多売でたくさんの人に安く売っていくお店”っていうのがあるんですよね。それで、私はその薄利多売のほうに最初に入っちゃったんだなって、入ってから気がつきました。
やっぱり自分が目指すものはそうではなくて、それなりの料金をいただいても、一人ひとりと丁寧に向き合っていきたい。でも、それをやるには技術も知識も経験も全然足りない。そう思って、エステのことをきちんと一から勉強することにしました。

-独立後は、どのようなサロン作りを意識されていますか?

永松:当店はフェイシャルが専門なので、ダイエットとかと違って基本的に卒業がないんです。
肌トラブルが原因で来られていた若い方なんかだと、肌悩みを解消されてもう来なくなるっていうことはあるんですけど、ある程度年齢を重ねるとシミやシワ、たるみって一生付き合っていくものですよね。もちろんケア不足だった人はきれいにはなるんですが、良くなって終わりではなくて、やっぱり長いお付き合いになる方が多いんです。なので、長いお付き合いができるような接客やフォローは常に心がけています。
もちろん月に1~2回定期的に来てくださる方もいれば、家庭の事情や妊娠・出産・子育てなどで間が空いてしまう方もいます。でも、しばらく遠ざかってしまったお客様でも、本当に困ったときにはすぐに駆け込んで来られるような環境は作っておきたいんです。

-お肌のコンディションを保つには、どのような日常ケアをすれば良いのでしょうか?

永松:その人のお肌の状態によるので、正しい回答がなかなか難しいところなんですが…。

ただ、最近は過剰なケアで肌トラブルを起こしてしまっている方が結構いらっしゃるんですよね。美意識が高い方がすごく多いんですが、そういう方はいろんな種類の化粧品を試して、それがかえって肌に良くなかったり合わなかったりして肌の調子が悪くなっちゃう…みたいなこともあるんです。
だから、そこはやっぱり上手にプロに頼ってほしいなと思います。

自分で最低限やってほしいのは紫外線対策と保湿です!とりあえずこの2つをやっておいてもらえれば、ある程度あとで挽回することもできるので!
紫外線は浴び放題、保湿も全然していない荒れ放題の肌の状態でエステに来て「じゃあお願いします」って言われても、できることが限られてしまうんですよね。そこまでの状態になってしまっているともう積極的にケアするっていうよりも、守りのエステしかできなくなってしまうんです…。
だから、保湿と紫外線対策だけはしっかりやっておいてほしいです。そうすれば、肌の調子を大きく崩すことはあんまりないんじゃないかなと思います。

-先生が美肌デザイナーとして活動されているのはいつ頃からですか?

永松:開業したのが8年前くらいなので、6~7年くらい前からですかね。
私自身がすごく自分の肌に対してずっとコンプレックスを持っていて、肌荒れですごく悩んできたので、自分の肌が嫌いっていう人の気持ちを少しでも楽にしたいという想いで「美肌デザイナー」として活動しています。
お客様の中にも「自分の肌に満足していない」とか、「肌がきれいな方と取り換えたい」っていう方はすごく多くて、その気持ちはよく分かるんですが、やっぱり「自分の肌が好き!」って言えた方が気が楽だし、ちょっと大げさかもしれないけど軽やかに生きていけると思うんですよね。
肌って生まれつききれいとか汚いとかではなく、自分の力できれいにデザインしてつくっていくことができると思うんです。

-サロンでの施術はどのようなものがありますか?

永松:大きく分けて2つメニューがあって、肌をきれいにしていく肌改善のコースと、リフトアップ(引き上げ)のコースですね。リフトアップは小顔になりたいという若い方に受けていただくこともありますが、基本的にはシワやたるみが気になる年齢を重ねた方に受けていただくことが多いコースです。

両方に共通して言えるのが、最初に肌診断をしっかりすることですね。肌分析をちゃんとして、どういう肌タイプなのかを見て、それに合わせた化粧品やパックの種類、メニューの内容を組み立てていきます。一応〇分で〇円というメニューはもちろんあるんですけれど、基本的にはそのときにその人の肌の状態を見て組み立てるので、オーダーメイドのようなエステです。

よくある「ニキビコース」や「シミコース」みたいなメニューは用意していなくて、一人ひとりの肌に合ったケアをしていくことをコンセプトにしています。

-先生が心に残っている、お客様の喜びの声を教えてください。

永松:「鏡を見るのが楽しくなった」とか「すっぴんに自信を持てるようになった」と言ってもらえるのは嬉しいですね。すっぴんを見せられないから彼氏の家に泊まりに行ったり、友達と温泉旅行に行ったりできない…と言っていた若いお客様が、「すっぴん見せられたんです!」って笑顔で報告してくれた時はすごく嬉しかったです。やっぱり自分自身もそういう経験をたくさんしてきたので。

あと、一番心に残ってるのはエステティシャンになりたてのときに、お客様からかけていただいた言葉です。脱毛サロンにいた頃のことなんですが、指名制のサロンではなかったにもかかわらず、「永松さんなら安心して任せられるから次も指名させてもらいたいです。いつもありがとうございます。」と言っていただけたことがあったんです。
脱毛って正直痛いので、気持ちいいエステではないんですよね。それなのにそんなふうに言っていただけて感謝してもらえたのが、本当に嬉しくて!
まだエステを始めたばかりの頃だったので、こんなに人に感謝してもらえる素晴らしい仕事なんだと感動しました。

-先生の今後の夢や展望を教えてください。

永松:サロンのオーナーとしての目標は、小さいサロンで、正直お付き合いできる人数も限られてくるので、その分深く密にお客様と関わることができるサロンを今後も作っていきたいということですね。一回来て終わりではなくて、長くお付き合いができる、一度離れても困ったときにはすぐに駆け込んで来られる、そんなサロンにしていきたいと思っています。

ただ、小さいサロンは密に深く付き合っていけるっていう良い部分がある反面、たくさんの人に届けられないというのが難しいところでもありますよね。でも、世の中には肌のことで悩んでいる人って本当にたくさんいて…そういう人たちに「そんなときはこうしたらきれいになれるよ」とか、「このやり方はこの肌の人には向かないよ」とか、伝えたいことはたくさんあるんです。
昔の自分みたいに肌が汚いことを理由に自分の可能性を閉ざしてしまっている人、肌が汚いから自分の人生なんてもう終わりだ…くらいにふさぎ込んでしまっている人に「そんなことないよ!」ってちゃんと伝えたい。やり方次第でいくらでもきれいになれるし、もっと自分らしく楽しく生きていけるから!

そういう想いを、執筆活動やメディアに出ることを通して、自分の肌に悩んでいるたくさんの人に伝えていきたいというのが私個人としての夢であり、目標ですね。

-最後に、肌の悩みを抱えている女性にメッセージをお願いします。

永松:肌の悩みがあっても自分らしく生きることはできるので、まずは自分の肌をちゃんと褒めてあげてほしいです。本当に悩んでいると、「鏡なんて見たくない!」とか「なんでこんな肌に生まれたんだろう…」とか、自分のことを責めちゃったりもするんですよね。
でも、肌は循環するものなので、一生ずっと今のままっていうことは絶対にないんです。肌はもともときれいになる力を備えているので、絶対きれいになれます!
まずは嘘でもいいから「昨日よりもきれいだね」とか、自分の肌を肯定してあげてほしいなと思います。

所在地 フェイシャルサロン&スクール-SUHADA-
〒155-0033 東京都世田谷区代田5-2-22アルカディア下北沢207
公式サイト https://suhada-salon.com/
書籍 著書『人生がときめくシワとりパーフェクトブック』発売中